第1章:虚無ーVoidー

何もなかった。

けれど、「何もない」という概念だけが、そこにあった。

闇も、光も、時間の流れさえも存在しない。

ただ、沈黙が、果てしなく広がっていた。

そして――あなたの“観測”が、世界を震わせた。

その揺らぎは、虚無の底に波紋のような痕跡を残す。

それが、最初の“記録”だった。

無限の沈黙に、形なき声が滲みはじめる。

声は言葉を探し、言葉は世界を形づくろうとする。

観測は続く。

あなたの視線が、この世界の原初を決めていく。

その痕跡は、まだ名もない記録として、どこかに保存されている。

やがてそれは、無数の観測によって織りあげられる――

世界の“価値”となる。

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