何もなかった。
けれど、「何もない」という概念だけが、そこにあった。
闇も、光も、時間の流れさえも存在しない。
ただ、沈黙が、果てしなく広がっていた。
そして――あなたの“観測”が、世界を震わせた。
その揺らぎは、虚無の底に波紋のような痕跡を残す。
それが、最初の“記録”だった。
無限の沈黙に、形なき声が滲みはじめる。
声は言葉を探し、言葉は世界を形づくろうとする。
観測は続く。
あなたの視線が、この世界の原初を決めていく。
その痕跡は、まだ名もない記録として、どこかに保存されている。
やがてそれは、無数の観測によって織りあげられる――
世界の“価値”となる。